06.人を感じるしつらえ

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100601アンコナベンチ

1枚目の写真はイタリアのアンコナで見かけた窓際のしつらえです。ポルトガルなどの民家でも同じようなものを何度か見かけ、気になっていたしつらえです。壁に2人が向かい合って座れるくらいの穴が空いていて、そこにベンチとコーヒーを置ける程度の小さなカウンターが付いていました。

カウンターに肘を掛け一人で外の景色を眺めたり、陽だまりのなかで昼寝をしたり、親子で向かい合って座り今日一日の出来事を話したり、窓際を舞台にしたさまざまな生活のシーンが目に浮かんできて温かい気持ちになります。

 

100602マーストリヒト階段

2枚目の写真はオランダのマーストリヒトにある公共施設のひな壇状の階段です。その階段は吹き抜けの大きな空間のなかでエントランスホールと2階の展示スペースとを結んでいます。右側半分が上り下りするための階段として、左側半分は段板の上に座れるようになっていました。

段板の上に並べられた赤と紫の丸いソファーのような座布団に導かれ、気付くと吸い込まれるように座っていました。公共施設はどうしても堅苦しく冷たい雰囲気になりがちですが、何か身近で温かいなあと感じていました。

場と場の接点や境界に、人が留まるような場所をしつらえたり、会話の生まれる場所をしつらえたりすることで、そこに人を感じ、それぞれの場が繋がって見えてきます。そしてそのしつらえが温かさを感じる上でも重要な要素なんだと気づかせてくれています。