第5回は塗装工事です。既存のクロスをはがした後、裏紙が壁にべったりと残っています。紙が残っているとその部分が塗装後に膨らんでしまうため、なるべく残らないように取り除いていきます。写真はスポンジで水をふくませているところです。(色が濃い部分が水をふくませたところです)
一度水で濡らし、水分で膨らんだ残り紙をヘラで掻き落としていきます。2人で一日作業になりました。
1枚目の写真はアイルランドの西海岸にあるモハーの断崖です。その断崖沿いの歩道には手摺りのようなものは何もなく、崖とは反対側に沿って膝ほどの高さの薄いスレート板が立ち並んでいるだけでした。
スレートのその粗い質感やつくりが「ここから先は美しい景色ですが危険を伴います。これより先に入る場合は自分自身で身を守ってください。」と暗示しているかのように感じられ、同時に自然に対して人間を大人扱いしているなあと共感できました。その反面そのスレートによる境界が、不思議と安心感を与えてくれているのです。
2枚目の写真は伊豆の大室山の山頂噴火口の稜線です。一本のロープがやはり内側に張られていました。それは一本のロープにすぎないのですが、仕切るのではなく、ロープで境界を示すという非常に日本的な方法です。それは眺望の邪魔をせず、アイルランドの断崖と同じように稜線を歩くのに安心感を与えてくれているのです。
もしも、これらの道にスレート板やロープがなかったとしたらどうでしょうか? 同じ歩道なのに足がすくんで腰がひけてしまい、歩くのが少し怖くなってしまうことでしょう。
しかし、スレート板やロープで「境界を示す」ことによって歩道はより確かなものとして認識されるようになります。それが安心感につながる暗示になっているんだと気づかせてくれています。
第2回はふかし壁です。キッチン周りは電気・ガス・水道・排水・排気と設備が絡むので、既存の壁から設備の配管スペース分の壁をふかし、新しいキッチン家具が設置できるような壁を設けていきます。
家具を取り付けための補強材を入れたり、設備器具の取り付け位置に配管配線が施されているのが確認できます。既存の床や壁や梁、天井の垂直水平の精度が悪いため、家具の取り付け時には、現場で各面との調整をしながら下地も微調整することになりそうです。