師.黒沢隆

師 黒沢隆 のちょうど三回忌にあたる先週末、シンポジウム「個室群住居の現在」・展示を見に行きました。
黒沢先生が事務所を始める前、生田勉研究室の研究生だったころのお話(植田実さん談)がなかなか面白かった。写真はホシカワキュービクルズ(1977)の原寸図面、間口は2.4mです。

春の訪れ

そういえば先週末、事務所のまわりでは「ホーホケキョ」というさえずりが、朝から昼過ぎまで響き渡っていた。

祖師ヶ谷大蔵に住みはじめて30年近くが経つけど、ウグイスの鳴き声を聞いたのは初めてのような気がする。確かウグイスのさえずりは縄張りを主張していると聞いたことがあるが、このあたりに巣でもあるのだろうか?

04.生活がはみ出した景観

100401ハノイ線路

1枚目はベトナムのハノイにある線路の写真です。線路の脇には街路のように家が建ち並んでいて、砂利敷きの線路脇が家々のメインストリートになっていることに驚きました。寛いでいる人がいれば商売をしている人も、そしてバイクも走っていました。

道を中心に街並みが形成されていくことを考えれば、その昔まだインフラが整備されていなかった頃は、ここでは鉄道が生活に欠かせない最も重要なものであったことをうかがい知ることができます。

 

100402メコンデルタ

2枚目の写真もベトナムです。メコン川の支流沿いの街並み。生活の足であるボートが車のように行き交っていましたが、ボートに乗って移動するとその生活の場面・場面がスライドのように目に映り、その活気さと人々の笑顔が非常に印象的でした。

東南アジアの田舎に行くと昔の日本の風景を見ているかのようで懐かしさを覚えたりしますが、この二つの景観からは少し違った印象を受けていました。懐かしさとは少し違う、何かホッとするような、心和むような感覚になっていました。

プライバシーの強い西欧の家とは違い、家の前にも生活の一部がはみ出した、そんなアジア的な人の顔が見える景観にホッとし、心和んでいたのだと思います。かつては日本にも人の顔が見える景観は当たり前のようにありました。しかし最近はそんな景観も段々と街並みから姿を消していっているのが残念に思えます。