1枚目はノルウェー・ヴォス近郊のフィヨルドの写真です。フィヨルドは海なので川のような流れはありませんが、この日は風もない穏やかな天気だったため、波もない静かな水面には、背景の山並みがきれいに映し出されとても幻想的な風景でした。
水面が背景の景色に同化することで、陸と海の境界線はぼやけてあいまいになり、まるでひとつのつながった風景のようになっています。ボーッと眺めていると水の存在を忘れて海に足を踏み入れてしまいそうで、その静寂に満ちた風景に非常に平和的な気持ちになりました。
2枚目の写真はポルトガルのポルトから北へ約50kmほど行った海岸です。白い波しぶきを上げて打ち寄せる波のラインの美しさ、引いていく波の動き、波の音、風の音、人々の声、そして浜辺でビーチサッカーをしている少年たちの姿に心和まされた風景でした。そしてやはりここでも平和的な気持ちになったことを覚えています。
これらは両方とも海の写真なのですが「静」と「動」でまったくその印象は違います。しかしそこから感じた平和的な感情は共通していました。それは水辺との関わりに起因しているのかもしれませんし、陸と海との接点のありように起因しているのかもしれません。
建築の場合、計画の中に水辺を取り入れるケースは多く見られますが、水辺との関わりや水辺との接点のありようを考える上で、これらの事例で感じたことは非常に大切なことなのではないかと思いました。