1枚目の写真はオランダ・ロッテルダムの集合住宅の写真です。街路に対して玄関が3つ並んでいます。違和感なくさりげなく佇んでいます。しかしよく見てみると真ん中のドアの向こう側はどうなっているのでしょうか?
倉庫なのでしょうか? いや、住所があるから住居でしょう。中に入ると直に階段があって2階でまたいくつかの住戸に分かれているのでしょうか? それとも2階に内玄関があって一戸の住居になっているのでしょうか?? 中に入って確認できるわけではないのですが、頭の中のイメージはどんどんと膨らんでいきます。
2枚目の写真は桜の写真です。太い幹に咲いた桜です。一見「えっこれが桜?」と思うかもしれません。桜というとどうしても勢いよく伸びた枝先に満開に咲いた一面さくら色の情景をイメージしてしまいますが、少し視点を変えてその太い樹幹に目をやると、思わぬところに桜の花びらを見つけることができます。
荒々しい樹皮に咲く愛くるしい桜の花。その姿はまるで美女と野獣といった感じです。全体の美しさに気をとられてしまい、ついつい見落としてしまっていますが、これもれっきとした桜のありさま、佇まいなのです。
日頃何気なく目にしている風景や身の回りのモノですが、先入観を持たないで見たり、またイメージを膨らませて見ることによって、少し違った佇まいが見えてきます。そういったモノを記憶しておくこと、つまり佇まいの蓄積を大切にしています。それはきっと建物をつくるときに役立つはずだから。