1枚目の写真は北アイルランドの北海岸のジャイアンツ・コーズウェーの写真です。6角形の岩の柱群、そしてそのスケール。とてもとても自然にできたものとは思えないその景色は衝撃的でした。
この6角形の岩の柱群は過去の火山活動の跡で、マグマが冷えて固まってできたものなのだそうです。長い年月の間、波に削られ、風に削られ、人に踏まれながら今の形状になっていったのだと思います。そしてそこに身を置いた時、そこに集まっている人とその景色との組み合わせに、妙に心地よさを感じたのを覚えています。
2枚目の写真はベトナムのハロン湾の夕景写真です。夕日によるその美しいシルエットが形の強さや形の大切さを強く感じさせてくれるものでした。そしてそれと同時に、山頂に浮かび上がった建物のシルエットに「ここは人の領域である」という安心感を感じ、移りゆく闇夜への恐怖感から開放されていくようにも感じました。
私たちが自然に対して感じている美しさや心地よさは、人が入り、人が関わり、人が手を加えている、何らかの形で「人が関わっている自然」に対して覚えているのだと思います。それは本当の手付かずの自然に対してだと恐怖心を感じてしまい、安心してその風景を受け入れることができないからではないでしょうか。
無防備になれることやリラックスできること、つまりは「安心感を背景にしていること」がベースにあって、人は美しさや心地よさを感じることができているのだと2枚の写真は気づかせてくれています。