1枚目の写真はタイの市場です。以前TV番組の「世界の車窓から」に取上げられていたのを見て一度訪れたいと思っていた場所です。バンコクからローカル線を乗り継ぎ終点の駅メークローン。その駅前の市場は線路の部分を通路に見立てその両サイドにずらりと商品が並んでいました。
仮設のテントが線路の上まで伸び、暑い日差しを遮り、雨が降っても気にせずに買い物ができます。そして線路のレールが綺麗に通路と商品陳列の境界になっていることで場に秩序や落ち着きを与えているように感じ、この線路が現役の線路であることを忘れてしまいそうになりました。
2枚目の写真はその線路を列車が通過するときのものです。列車の車高より低い陳列物は線路際までそのまま残っているものもありますが、その他の陳列物は車幅のギリギリのところまで下がっていました。よく見ると陳列台に滑車と滑車用のレールを敷いて工夫されているのがわかります。
出店者はみんな総出でテントを閉じ陳列物を片付けて列車の通過を待ちます。そして列車が通過したところから順にテントを張り、何事もなかったかのようにまた市場の風景に戻ります。その数分間のありようは圧巻でした。
この路線は1日4往復なので1日8回のこの作業、一見ものすごく効率悪く見えますが、片付ける人に合わせながら人を掻き分けるようにゆっくりと進む列車を見ていると、あくまでも人の生活が主役なそんな人間味あふれる風景にこころ温まります。