1枚目はイタリアのバッサーノ・デル・グラッパにて橋上から見た風景の写真です。この町はヴェネツィアから北へ約100kmの場所に位置し、町の中心にはブレンタ川が流れているグラッパ山のふもとの小さな美しい町でした。
川にかかる木製の屋根付き橋(アルピーニ橋)は町のシンボルになっていて、その橋から見る風景は山々を背景にした美しい町並みが非常に印象的でした。そしてその日は雪が残る寒い日でしたが、他の場所から見たときに感じた自然の厳しさとは違い、木の橋の上から見たその同じ町並みには何故かあたたかさを感じていました。
2枚目はブータンのプナカゾンを橋上から見た写真です。ゾンとは行政と寺院の機能を備えた城塞のことで、日本でいうと役所や議事堂などにあたる場所なのですが、その全景を見たときは威厳があり、まさに城塞といったイメージ通りの印象でした。
このゾンは紫色の花が美しいジャカランタの並木に囲まれていて、左右に川が流れているため中に入るには木製の屋根付き橋を渡るようになっていました。しかし屋根がある木造の橋に足を踏み入れた瞬間、今までの遠い存在に見えていたゾンが急に身近な風景として目に映ってきました。そしてその時バッサーノの橋のことを思い出したことをよく覚えています。
これらは、「ものを通して見ること見せること」によって建物や町並みの印象が変わってくることを再認識させられた事例です。そしてこのことは建築を計画する上でのアプローチ部分の大切さを教えてくれているようにも感じられました。